明治学院大学のブランディングフレームについてお話をお聴きしてきました

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先日東京都内にある明治学院大学で行われた、「 明治学院大学ブランディングプロジェクト トークセッション」に参加してきた。

明治学院大学の試みであるブランディングプロジェクトについて、天野祐吉氏と佐藤可士和氏が、大学のブランディングという切り口からトークセッションを展開するというもの。
現在当社で進行中である大学のブランディングプロジェクトにも参考になるであろう、というのが参加の理由でもある。
このセミナーの参加に当たって私は2つの目標を立てていた。
・現状ブランドとなっていない大学のとりうるブランディング戦略の方向性を探る
「若年層の基礎知識」にある「モノサシは偏差値」の若者に対して大学側は何をアピールするのか、を探る
しかし、このセミナーからはこの目標を達成することは出来なかった。というのも大学のブランディングについての本質論はほとんど語らなかった為であり、競争時代にあるはずの大学経営の甘さを感じずにはいられなかった。

トークセッションの冒頭、大塩学長から明治学院大学の理念とブランディングプロジェクトの趣旨についての話があった。
・大学の理念
創設者であるヘボンを大学のシンボルとする。
そのヘボンの「他者への貢献(Do for Others)」という理念に基づき、社会に貢献し社会から評価される大学でありたい。
・プロジェクトの目的
競争が激化する大学において明治学院大学が勝ち残ることを目的としてプロジェクトがスタートした。
大学の学生や卒業者などを含めた大学に関係する全ての人に明治学院大学のアイデンティティを共有してもらい、大学を盛り上げていきたい。
・プロジェクト方法
アートディレクションを佐藤可士和氏に依頼。
スタートとして、ロゴマーク、学生証、学生手帳、バッグ、ステイショナリー、グッズ、そしてウェブ・サイトのデザインを通したブランディングを開始。
以上のようなことを、紙を見ながらたどたどしく話した学長の話を聞いて、私は大競争にあるはずの大学経営の甘さという現状を垣間見たような気がしている。
というのも、企業におけるトップ・コミュニケーションとは、組織のトップが、メディアやその組織を取り巻くステークホルダーに対して的確なコミュニケーションをすることで、企業の評判の獲得ができるようになることをいう。企業は「顔の見える組織」への変身が求められており、トップ自らが行なう会見を目にする機会が増えている。それだけに、トップに対する評価・イメージが企業の評価・イメージに直結するといっても過言ではない。
大学の学長といえば、企業でいうCEOと同じ組織のトップである。しかし、大学の理念すら紙を見なければ言えない現状は、学長自身が理念を理解できていないのではと思っていしまったと同時に、大学としてこのように変りたいというビジョンさえ私には少しも伝わってはこなかった。
また、ブランディングプロジェクトのスタートとしてグッズ販売など商業的方向に走りすぎている感も否めない(参加者に配られたアンケートにも、今後どのようなグッズを販売したほうがよいか、との趣旨の質問があった)。もちろん、大学にもデザインを取り入れるというのは間違いではなく、おしゃれな大学としてのイメージを確立させることも大学にとっては新しい試みの一つであることは確かであるが…。
しかし、大学とはそもそも、知の拠点であるはずで、そこからの成果が大学の真のブランドを形作るはずである。しかし、その本質を見過ごしてデザインに走ると、ブランドとはならない。以前の企業によるCIブームの失敗については後のトークセッションにおいて語られいた。しかし、ビジョンが曖昧であると感じる明治学院大学のブランディングプロジェクトは、ただ企業のロゴを変更しただけにとどまった以前のCIブームとなんら変らないように感じられ、その失敗を繰り返してしまうのではとの思いがよぎってしまった。
大学ブランディングの核になることは、入学してくる学生に対して何を提供できるのか、出口である社会に対してその大学の生徒が何を提供できるのかを明らかにしていくことであると思う。明治学院大学のように単に社会に貢献する、という甘いくくりではなく、どのように、何で貢献する人材を育てる大学であるかを大学の個性と絡めて、ビジョンとして提示するこそが、競争時代にある大学に期待するブランディングまたは、コミュニケーションなのである。

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